狼「お久しぶりです」
梟「おぅ、まだこれ、やるんだな」
狼「ネタがあればやりますよ」
梟「お前、忙しいんじゃなかったのか?」
狼「何言ってるんですか。それは中の人の話です」
梟「うぉ、なんかイタい発言だな」
狼「そういうあなたは、忙しくないんですか?」
梟「それこそ何言ってるんだ、だ。俺の中の人はおまえだよ」
狼「……。あれですね? ハシモトがバーテンダー的な感覚ですね?」
梟「そうそう、さすが、知識を共有してると話が早い」
狼「いや、それ言っちゃうと、対談の意味ないんですけど」
梟「気にすんな。で、今日は何だ」
狼「えぇ、母性本能です」
梟「は? あの母親とか、年下好きのあれか?」
狼「はい、それに関する話を聞いたもので」
梟「俺は女じゃないし、結婚もしてないから、わからんぞ?」
狼「大丈夫です。中身ではなく、存在の話です」
梟「どゆこと?」
狼「母性本能という物は、本当は存在していないそうです」
梟「そうなのか? よく聞く名前だがな」
狼「いえ、人間が作り出した幻です。
もしあるなら、虐待なんてそうそう起きません。
それに、貧しい時代は捨てるのが当たり前だったわけです」
梟「そりゃそうだが、事情ってものがあるだろう。
一概に否定はできないと思うぞ?」
狼「そう考えるから、存在していると勘違いしてしまうんです。
現代はそれなりに裕福になり余裕があります。
それにある程度、産む産まないのコントロールが出来ます。
子供に必要性と人権が認められます」
梟「よくわからんな。それがどう関係するんだ?」
狼「それでも子供は脆弱です。社会では弱者です。
だから女性は、子供を守ろうとするんです」
梟「だからそれは、母性本能だろ?」
狼「違います。目的の順序が違うんです。
母性本能があるから弱い者を守るのではなく、
守るために、母性本能を作り出したんです」
梟「いや、どちらにしろ母性本能なんだから、良いじゃないか」
狼「いえ、十分問題です。なぜなら、守る理由が他にある、という事ですから」
梟「何だ? 例えばそれは、利害関係、みたいな物か?」
狼「そういう事です。
太古の昔、男は狩り、女は家事と分担していました。
集落には大勢の女が残るため、人間関係を維持しなければなりません。
女性がよく喋るように進化したのは、これが理由と思われます。
つまり女性は、それだけ人目を気にする生き物だという事です」
梟「それと守る理由に、どんな関係があるんだ」
狼「周りから良く思われたい。
つまり自分は、弱い子供を守る良い人なんだ、と思わせたいんです」
梟「おぃおぃ。なんかどこからか苦情が来そうな発言だな」
狼「しかし、これは十分信憑性があると思います。
なんてったって女性は、会わない人、嫌いな人にさえ、
良い人と思われたがっているぐらいですから。
よく聞くでしょう、女性が優しくしてくれたから、
好意を持ってくれていると勘違いする男性の話を。
全部、女性の思われたがりのせいなんです」
梟「…なんだ、何か恨みでもあるのか?」
狼「いえ、最近中の人が身をもって体験したそうです」
梟「いや、そんなに女性経験豊富だったか、あいつ?」
狼「情報収集だけは得意ですからね、経験の必要はないんでしょう」
梟「この話企画するなんて思うと、何か可哀想に思えてきたよ」
狼「じゃあ、あなたは中の人の味方ですか?」
梟「いや、一人でブツブツ考えてる奴は馬鹿みたいだな、って思ってな」
中「だって引篭もりだもん」
狼・梟『ぬぉっ!?』