僕「あのですね、思ったんですけど、僕がここで、本当の動機を一気に話しちゃったら、
刑事さん、それは用意した話で実は他に理由があるとか思っちゃいますよね?
計画的犯行だ、とかそんな事。 で、怒りまくしたてるわけですよ。
でもね、でも。 もしそうだったら、こんな事言いませんよね?
怪しまれるってわかってるのに、わざわざ言うヤツなんてマゾですよ。
いや、僕はマゾじゃないですよ、実際殺しちゃってるんで。
ね、だったら今から僕が言う動機はマジなわけですよ。
いやだからって、それを狙ってわざと言ってるわけじゃないですよ。
っていう事を言うわけが無くなるわけじゃないですか。
つか、わかってます、刑事さん? 聞いてます?
あぁ、まぁ、一応聞きますか、動機?
あれですよ、ムシャクシャしてて誰でも良かったんですよ。
あはは、しかし、今どきムシャクシャって言わないですよね。
あ、いや、とりあえず目立つ髪形だったんで、この人にしたんですよ、それだけ。
いや、アフロとかそんなんじゃないっすよ。 天パ?
どっちでもいいんすけど。 どっちにしろ大した理由なんて無いんですよ。
でもあれですよね、日本て動機が無いと逮捕できても裁けないんですよね。
だからよくニュースとかで、腹立ったから、
って自白してるのに詳しく動機を解明するとか言うんですよね?
でも実際、動機が無い時ってのもあるんじゃないですかね?
今日何でその服着てきたの? って聞かれたら、何となく、っすよね?
殺しちゃうのもそれと同じっすよね。 いや、怒んないでくださいよ。
で、どうっすかね、刑事さん? 送致されちゃいますか?」
犬「ばうっ」
僕「……、だよな。 はぁ、警察行くかぁ」
オマケでつづく
犬「ばうっ」
僕「お? お前が死体埋めてくれるのか?
そういや、死体が見つからなくても、裁けないよなぁ。 お前、いいヤツだなぁ」
犬「ばうっ」
僕「お? 食うのか? いや、やめとけって、天パは。 アフロ?
いや、どっちだっていいっての。 行くのやめようかな…」